ハンドフォークのこと

雑誌『ku:nel(クウネル)』で、挿花家の雨宮ゆかさんがイギリスSpear & Jackson(スピア&ジャクソン)のハンドフォークを紹介してくださいました。この道具、20年以上前にイギリスから園芸用品の輸入を始めた、いわば「原点」なんです。
当時の私は30代前半。音楽家への道をあきらめたばかりで、家庭菜園にどっぷりハマっていました。通信教育で学びながら庭師を目指したり、ヴィンテージの器で草盆栽のギャラリーを開きたい、と夢見てみたり。けれど、いざ飛び込んでみると、プロの方々の知識やセンス、そして圧倒的な情熱にはとても敵わない。そんな現実に直面する中で、ありがたいことに世の中に受け入れられたのが、今の「輸入業」という仕事でした。振り返れば、まさに「怪我の功名」のようなはじまりでした。
当時はイギリスの園芸用品を専門で扱うお店が日本になかったこともあり、今回のように多くの雑誌にも取り上げていただきました。改めて調べてみると、この22年あまりで、累計2,000本近くを皆さまの元へお届けしてきたようです。近年は激減してますが…。
雨宮さんは、一体いつこのフォークを手にしてくださったのでしょうか。もしかすると、20年以上もの間、ずっと相棒として使い続けてくださっているのかもしれません。もしタイムマシーンがあるなら、雨宮さんがこの道具を選んでくださったその瞬間に立ち寄って、少しだけお喋りしてみたい。そんな想像を巡らせながら、誌面を拝読しました。
2026年3月24日 晴れ