身と殻の区別

エアコンをフル稼働させても、なぜか寒い店内。電気代は跳ね上がり、身体も心も、ついでに財布も削られています。というわけで、ビニールカーテンを取り付けました。ホンサンスのピンボケを活かした映画『水の中で』みたいだな、と一人大満足。アルミサッシの隙間はモヘアテープで修繕。倉庫感・バックヤード感、増し増し。良い感じです。
修繕費は2,500円ほどで済んだので、会員登録なくてもご利用いただける還元セールを行います。期間限定です。詳しくはトップページにて。
ワケあり以外は「シーズンセールはしない」と決めて商いをしてきました。10年後も価値が上がるものを扱っているからです。けれど父を見送り、50歳を迎えたころから、事業も人生も「終わり」を意識するようになりました。看病の最中、死と向き合う父に「人生、どうだった?」と尋ねたことがあります。返ってきたのは、
「少し早いけど、おおむね満足している」
という言葉でした。今でも、ほぼ毎日のように思い出します。生きているうちに、伝えたいこと、聞きたいことは、後悔のない範囲ですべて話せたと思っています。映画『ストレイト・ストーリー』のおかげです。

七回忌を終え、父のいない人生をようやく昇華しながら暮らせるようになった今、ちょうど映画館で4Kリマスター版が上映されていると知り、足を運びました。
“You learn that what’s inside is different from what’s outside.”(年を取ると身と殻の区別がつくようになる)
正確な台詞は覚えていません。けれど、以前に観たときは素通りしていたこの言葉が、今回は強く胸に響きました。父を見送ってから、人生の豊かさを教えてくれる存在は、いつの間にか映画だけになっていました。そしてそれは、気づけばこの事業の核心とも重なっています。
日用品もファッションも、外側ではなく、その内側にある時間や想いに目を向けること。人生を急がず、味わいながら生きること。映画がそうであったように、お店で扱う物事もまた、誰かの人生に寄り添い、「おおむね満足している」と言える時間へとつながっていけば幸いです。
たかがセールの話です。
2026年1月15日 晴れ