デレク・ジャーマン没後30年、不朽の名作『Derek Jarman's Garden』が、製版のデジタルリマスターにより、約30年ぶりに新訳復刊となりました。
著/デレク・ジャーマン、写真/ハワード・スーリー 、訳/山内朋樹
判型:B5判変型(237mm × 173mm)
ページ数:148ページ
デレク・ジャーマンの庭園は、イギリスのケント州ダンジェネスにある彼の自宅に設けられた非常に独特で芸術的な造園です。1986年にダンジェネスに移り住んだジャーマンは、荒涼とした広大な礫浜の過酷な環境を利用し、流木、石、鉄くず、貝殻など現地の自然素材を巧みに組み合わせた庭園を作り上げました。植物も過酷な気候に耐える種類を選び、ポピーやラベンダー、ワイルドフラワーが彩りを添えています。
この庭園にはジャーマンの芸術的感性が色濃く反映されており、詩的な美しさが感じられます。庭園は単なる造園プロジェクト以上のもので、ジャーマンの創造性と自然との調和を象徴する場所となっています。
現在、この庭園は保存され一般公開されており、多くの訪問者がジャーマンの芸術的遺産と自然への愛情を感じ取ることができます。彼の庭園は、他の芸術作品と同様に高く評価されており、創造的なビジョンと持続可能な造園の可能性を示す重要な例です。
書籍『デレク・ジャーマンの庭』は、この庭園に関する美しい写真や、ジャーマンの庭園に対する哲学や設計過程を詳述しています。彼の言葉や日記の抜粋も収録され、庭園のデザインに影響を与えた文化的・歴史的背景や他の芸術作品との関連性も探求されています。この本は、ジャーマンの創造的ビジョンと自然との調和を深く理解するための書籍であり、芸術や自然に興味を持つ全ての人にとって価値ある一冊です。
Derek Jerman(デレク・ジャーマン)
デレク・ジャーマン(1942年1月31日 - 1994年2月19日)は、イギリスの映画監督、舞台美術家、作家、造園家で、その独創的かつ実験的な作品で広く知られています。彼の代表作には、『セバスチャン』(1976年)、『ジュビリー』(1978年)、『キャラヴァッジオ』(1986年)、『ウィットゲンシュタイン』(1993年)、『ブルー』(1993年)があります。『セバスチャン』は同性愛のテーマを大胆に描き、『ジュビリー』はパンクロックの精神を反映したカルト映画として評価されています。『キャラヴァッジオ』はバロック時代の画家の生涯を美しい映像で描き、『ウィットゲンシュタイン』は哲学者の人生と思想を詩的に表現しました。『ブルー』はエイズ闘病中に制作され、視覚的には青一色の画面と詩的なモノローグが特徴です。
映画監督になる前に、ジャーマンは舞台美術家としても成功を収め、特にケン・ラッセルの映画『悪魔の入江』(1971年)で注目を集めました。また、彼は自伝やエッセイ集も多数発表し、『Chroma: A Book of Colour - June '93』(1994年)などがあります。晩年にはケント州ダンジェネスの自宅で独自の庭園を設計し、荒涼とした風景に美しい庭を作り上げました。
デレク・ジャーマンの作品は、その独自のビジュアルスタイルと挑発的なテーマで、映画界や芸術界に多大な影響を与えました。