2011年より、TACOMA FUJI RECORDSにお願いして、当店のショップTシャツを制作していただいています。2025年7月5日、当店は22周年を迎えました。今回は、20周年記念で作った「GREEN FINGERS」のTシャツを色違いで制作し、店内ではポップアップイベントも行いました。
実は、2013年にも同じ「GREEN FINGERS」のタイトルで、黒猫と指のモチーフの2型を制作していただいています。当店にとって、この言葉はとても大切で、特別な意味を持っています。私自身は「GREEN FINGERS」ではありませんが、だからこそ憧れでもあります。
「GREEN FINGERS(グリーン・フィンガーズ)」とは、直訳すると「緑の指」。植物やガーデニングに特別な才能やセンスを持つ人のことを指す、イギリスの表現です。園芸家にとって、野良猫は糞尿の被害で嫌われる存在かもしれません。しかし愛猫家の目には、人間よりも自然と共にある野良猫は、むしろ敬うべき存在に映ります。その思いを込めて、このTシャツを作りました。
また、私はこのTシャツに寄せて、夏目漱石風に小さな物語を書き下ろしました。世間からの評価はないのですが、個人的には自分の文章としてはかなり良くできたと思っています。ここで改めて、皆さまにお披露目させていただきます。
吾輩は猫である。名はトキオ。
かつては野良猫として自由気ままに暮らしておった。然るに、庭にて用を足した折には、人間どもが眉をひそめ、不機嫌を露わにするので、こちらとしては理解に苦しんだものである。勝手に草木を植え、それが枯れようとも一向に気にせず「ガーデニング」などと称するのが人間という生き物らしい。我々猫族の方がよほど植物の心を知っておると思うが、どうやらそれを伝える言葉は人間界には存在せぬようだ。
時は2021年5月、突如として二匹の人間と暮らすこととなった。これがまた奇妙な生き物で、吾輩が用を足すたびに歓喜の声を上げる。朝なれば目覚めるや否や撫で回され、気まぐれに吾輩が噛んでも、怒るどころか笑っておる。これは一体何の儀式であろうか。しかも日に百度は「トキオ、トキオ」と呼びかけてくる。あまりにも執拗ゆえ、正直うんざりしておる。
猫を愛でる人間たちは、「2」を「ニャー」と読む奇習があるようで、2が二つ並んだだけで「ニャーニャー」と歓声を上げて喜ぶ。誠に不可解な風習である。そればかりか、「記念」とやらの名目で、吾輩たち野良猫の姿を写したTシャツを作る始末である。いかにも人間らしい自己満足の産物であろう。
されど、野良猫の手はGreen Fingers。草木と寄り添い生きる術を、吾輩は知っておる。「ニャーニャー記念」なる奇妙な祭りに寄せて、吾輩は静かに時を生きる。
※この物語はすべて実話です。