経年変化に耐えうる帽子
DECHO(デコー)
ヴィンテージの風格がありハードワークにも適した帽子を探し続けたどり着いたのが、デニムや帆布の産地である倉敷市児島で創業したファクトリーブランドDECHO(デコー)。ブランド代表の元田氏に「経年変化に耐えうる帽子」について話を伺いました。
- 使ってみてわかるのですが、経年変化に耐えうる帽子って素晴らしいですね。
DECHO(以下敬称略):従来の帽子の縫製って基本的に4mmとか5mmの縫い代をとって綺麗に縫って仕上げているので、洗っちゃうと駄目なんです。ウチはワーク・ビンテージの風合いの生地が多くて、デニムとかってわりかしハードな洗いを求められるんで、よくある帽子の縫い方のものを同じように洗いをかけちゃうと、ところどころパンクしちゃうんですよ。洗いのこととか経年のこととか考えると、太い糸とかチェーンステッチとか必要になってくると思うんですね。
- デニムで言うパッカリングのような風合いが特徴的ですが。
DECHO:ウチは基本的に綿を使うんですよ。地縫いとかでスパンとか強いものを使うことはあるんですけど、表に出るのは全部綿なんです。風合いが合繊と違って、縮んだりするんで、洗ったときに凹凸ができるじゃないですか、糸自体が縮んで生地に凹凸ができて当たりが出て色が落ちるっていう、デザイン以外にもいろいろやってるんですけど、それを商品説明にすると重くて。だから、商品を手にとって気に入っていただいた後に、実は…っていうくらいがちょうどイイかなって思ってます。
- 自社で作っているんですよね。
DECHO:最初は自分でやろうなんて思ってなくて、でも外注で何回お願いしても埒が明かなくて、生地の伸縮率とかいろいろ考えて自分自身でパターンも取り直して、デニムのミシンとかで作り始めたんです。結果的に帽子屋さんじゃ縫えない帽子が出来上がって、逆に外注じゃ縫えない帽子になっちゃって。いいのか悪いのかわかんないんですけどね。キャパの限界はあるんですけど、コラボとか、ジーンズ屋さんとダブルネイムで出したりとか、なるべくウチのニュアンスが伝わるブランドさんとかメーカーさんとであれば、いろんなことをやっていこうと思ってる集団なんです。
- 生地にもこだわりが垣間見えます。
DECHO:もちろん生地屋さんのものも使うんですが、今回オリジナルの生地を作ったんです。サマーサンズファブリックって言うんですけど、帆布の織りなんです。それをハンターやパテシエとか職業ごとにカテゴリーごとに帽子を作ったんです。それとエプロンも。今回是非これを見ていただきたくて。児島は帆布やデニムの産地なんで、このファブリックを織るにあたって、帆布を使いたいってのがあって、でも11号帆布とかでも帽子にするには少し硬いんですよね。で、縦糸にマスタード、横糸にカーキの糸を使って、それに一手間二手間かけて帽子に適した生地に仕上げたんです。1830年ごろにアメリカで生まれたって言われてるリング紡績糸を使ったのもあって綺麗な帆布に仕上がりました。通常の帆布の規格にはないことをして作ったんですよ。あとはウチの強みでもある縫製で強度も出せました。
- 当店に一言どうぞ。
DECHO:今後、カテゴリー別にいろんなアイテムを掘り下げていきたいと思ってますし、Lifetimeさんとはファッション的なバランス感覚が離れていないので、何か面白い試みができそうです。僕たちにとっては新しい試み(カテゴリー)ですが、感覚が似ているのは心強くて楽しみでもあります。
(この対談は2010年1月に行った内容です。)
DECHO(デコー)
とある小さな帽子工場として、岡山県倉敷市を拠点に2003年にスタート。ワーク、ミリタリー、ネイティブ、ヴィンテージやデッドストック、古き良いものをミックスし着用するごとに色を変える、経年変化する帽子づくりをコンセプトにしています。量産工程に至るまで自社工場内で縫製し、一貫した意識の中で生産する姿勢を大切にしています。創業当時から変わらず作り続けているスタンダード、時代の匂いを取り入れるシーズンコレクション、近い感覚のブランドとのコラボレーションなど、毎シーズン多彩な帽子を発表しています。ハンドメイドならではのぬくもり、長年使い続けて頂くことで生まれる変化をお楽しみください。